イコール計算とコミュニケーション能力

スタッフとの会話で尋ねられた「コミュニケーション能力」

私は、新人スタッフ教育を23年間で、350人以上やってきました。

中には、接客業の経験がない方を採用することもあった訳ですが・・・・

お客様に「どう」接したらいいかが「分からない」「苦手」だという若者が多いことに驚きを隠せない。

接客業の経験があるかないかは、大きな問題ではないと考えている。

仮に外国の方や年の差が大幅にあったとしても、大した問題ではない!

相手は人間な訳ですし、「相手が伝えようと思っている内容を知れれば」

どう対処していいのかが分かるだけの話なのです。

要は、コミュニケーションが取れれば、お金持ちであろうと

男性女性の性別や、年齢は関係ないのであります。

「当たり前のことじゃないか!」

「マスター!そんなことは知っているよ!」と思われる方、最後まで読んで下さらなくても

構いません。そのままスルーください。

 

イコール計算の掛け違いに注意

コミュニケーション能力とは、お客様の伝えようとした内容を

「きちんと」把握して、「的確に判断」

そして「実行」という話です。

コミュニケーションの場合は

「受け答え」ということになるのだろう。

 

しかし、お客様によっては、勘違いしたワードを伝えようとされる

いわゆる「イコール計算」というものが必要だろう。

例えを用いれば・・・・

コーヒー豆をご購入のお客様が

豆を粉にしてほしいと願うとき、スタッフに

「これは煎ってあるのか?」と尋ねられるケースがある

言葉という概念であれば

焙煎を施してある商品なはずですので

勿論「煎る」という作業は行われているのは当然なはずだが

そのまま「煎るってあるか?」の質問に

「はい」とお答えしては、トラブルの原因になるに違いない。

いや、トラブルの原因そのものである。

「きっと、そうだろうな〜」という仮説を立てます。

お客様は豆の状態ではなく、粉の状態をお求めしている場合、

「煎る」ではなく「挽く」であればであればどうだろう?

それを、そのまま「挽くの間違えですか?」と伝えても

感じが悪い店員になってしまう。

そこで、イコール計算が必要となるのだ!

お客様の言葉への認識の否定はせずに

お客様が最終的に求める結果を「含んだ」ワードを用いて

スムーズに対応できるスキルが必要となるのだ。

例えば、「こちら豆の状態ですが、粉にするとこも可能です。お時間は40秒ほどお待ち頂ければ、すぐにお挽きすることも可能です」

とお客様にとっての「リスク」!(ここでは時間が40秒要すること)を同時に伝えてあげれば

「40秒待っても、粉の状態で購入したい商品をお求め頂ける」という塩梅です。

リスク計算は、時には「思い違い」と紙一重なので、同時に「捉え間違い」の可能性もありますから、

会話の中に含めてあげると、スムーズにことを運べることが出来ますし、

また、スムーズに進めることが出来た暁には

「ここの定員さん、サービスがいい」とお客様に好印象を同時に与えられることが出来ます。

店側にとっても、お客様にとってもハッピーになるに違いない。

私どもは、そのようなサービスの徹底を心がけております。

まだ、未熟な点もあるかもしれませんが、多くのお客様と触れ

楽しい時間を過ごすキャリアを磨いていけたらということです。

 

どんなお客様でも「噛み付いたり」「根拠もなく怒ったりはしない」のです。

お客様が伝えようとする内容が叶わないから

「叱られるのです」

私たちに不備があり、叱られた際には真摯に受け止め

「言い訳」などせずに「誠意を持って」対応するようにしたいものです。

きっと、お怒りのお客様も「事情が分かる」とお怒りも静まります。

接客ほど、面白い仕事はないのです。

 

クレーム処理は、実はチャンス!

クレーム処理がチャンスだということで、わざわざお客様に叱られる必要はない。

しかし、一生懸命対応したとしても、お客様の想いとは裏腹に

目的が達成できない場合には、「お叱り」を受けることもあるだろう。

僕は、それらを含めてチャンスだと捉えるようにしている。

別に、「開き直っている」わけではなく、考え方の違いなのかもしれません。

クレームを伝えるお客様にとっては、リスクも生じているからだ。

お客様は、リスクを負って、店側にお叱りをぶつけているのだから・・・

中には、「いちゃもんつけたいだけ」の人もいるかもしれないが

考えたかでは「店側に改善していい店になってほしい」という願いが含まれると思う。

要は、期待値も含まれているのだ。本来なら、店の改善点を自分らは、気づかないまま

過ごしてしまうことの方が多いはずです。

そのお言葉に耳を傾け、改善案を導き出すことができれば

その勇気を出して伝えてくれた「お客様」は非常にありがたい存在なのである。

しかし、私はそこまでで終わらせたくない。

 

その期待値を、無限の可能性に変換したい!

 

そう思うようになったのは、急に「降って湧いて出た」わけではない!

これも、経験から生まれたことであります。

偉そうに、こんな内容のブログを書いているのですが、

全て、お客様と向き合おうとした結果でしかない。

クレームを言われるお客様には「共通点がある」

それらを見逃さず、会話を進めるのだ。

お怒りのお客様に、言い訳がましい理由などはいらない。

まずは、お客様が何を伝えようとしているのかを

最後まで黙って聞く必要があると私は思います。

あとは、「誠意」

平謝りするケースをイメージされる方もいると思いますが

逆効果の場合もある!確かに、相手側はお怒りなわけですから

全く謝罪しないわけにはいけないが、過度の謝罪となると

お客様側が店側をいじめているような構図になってしまうと問題である。

勇気を出して、伝えてくれたお客様が単なる「クレーマー」に陥ってしまうからだ。

それを踏まえて、私が経験した実際にあった出来事を綴りたい。

 

伝説の県立劇場の話

熊本県が運営する、その名の通り県立劇場は、日夜多くのお客様で賑わう会場で

音楽ライブやイベント、演劇や会議室など様々な活用方法があります。

劇場に隣接してあるレストランの改修工事のため、催し物は多くあるのに

レストランを活用できないと困るであろうと県が改修工事の間

臨時で出店するお店を探していた。そこでタオに依頼がきたわけだ!新たなるチャレンジでした。

出店も次第に慣れてきて、多くのお客様に喜んでいただいている声も直接聞けた頃。

ある日の朝、劇場の担当者から「事務所に来るように!」とお話がある。

まぁ正直ビビりまくりました。www

担当者「タオさん〜困りますよ」

私「何か、問題がありましたでしょうか?」

担当者「タオさんが出店して頂いてからというもの・・・・」

私「・・・」(唾をのむ)

担当者「大変、好評で短期間じゃなく、常時出店してほしいというお客さんの声が多くて困ってます」

私「え?」

担当者「タオさん、すごいですよ!催し物の感想よりも、出展者へのお礼の言葉が多いです。引き続き期間中お願いします」

私「はい」

こんなことがあっていいのだろうか?嬉しいには間違いないが、半信半疑で出店場所の屋台に戻った。

そして、いつものようにスタッフと朝礼をする。

「おはようございます」と一連の事務局担当者とのやり取りをスタッフに伝えると

スタッフも喜んでくれた。最後に私から「勝って兜の緒を締めよ」という言葉を添えて

業務に取り掛かった!

連日、多くのお客様で賑わっていた中央ロビーでは、休憩時間にコーヒーやサンドイッチ、当店自慢のアップルパイを

求められる行列ができるわけです。その日は特に忙しく、どこの会場も満員で休憩時間となれば

バッと!人が並びます。そこで事件は起きました。

アップルパイとサンドイッチとブレンドと、あ!やっぱりパイを2個にして、サンドはいらないわ。などの

言葉が行き交う。スタッフの急ぎながらも、それらに応えようと必死に対応する。

昼休憩が終わりかけのピーク時に、先ほど大量に商品をお求めになった方が

大声で怒鳴りかけてきた!「さっきの、アップルパイが2個少なくしか入ってなかったわよ!何聞いてるの!」

もう、聞き取れないぐらいの早口で相当お怒りがあることは、私の方まで伝わってきた。

スタッフの一生懸命に対応してくれたものの、お怒りは収まらず「もういいわよ」と人混みの中に消えていった。

それでも行列は容赦無く襲いかかる。どこか、もやもやしながら仕事をしていました。

すると人混みの中、先ほどのお客様が遠くで歩いているのを発見。

行列は一向に収まっていないけど、スタッフたちに「あとお願い」と

販売していた¥100のローカー(お菓子)を持ち、自分の持ち場を離れました。

スタッフからすれば「ええええええ!」に違いなかったが!

遠くに見えた「先ほどのお客様」のところへ人混みを掻き分け駆けつけました。

「はーはーはー!お客様」

すると立ち止まる。

「先ほどは申し訳ありませんでした。」

すると「もういいわよ!」とお怒りは収まっていません。

握りしめたローカーを手渡しました。

すると、お菓子を地面に投げつけ

「こんなので許してもらえると思ったの?」

余計に怒らせてしまう。私は発しました。

「お客様、聞いてください。」

私は、朝に劇場の担当者に褒めてくださったことを話しました。

「勝って兜の緒を締めよ!」とスタッフたちに伝えたばっかりで

「お客様に不愉快な思いをさせてしまいました。それじゃ意味がないんです。

僕たちが劇場に来た意味は、誰1人として嫌な思いをされるのであれば

どんな他の方を喜ばせることが出来たとしても、意味がないのです」

地面に落ちたお菓子を拾い

「だから、このお菓子ではお怒りは収まらないでしょうが、もらって頂かないと困ります」

そう伝えると持ち場に戻った。

夕方になると次第に催し物も少なくなり

来場者も徐々に少なくなって売るものも殆ど無くなっていた。

すると、先ほどのお客様が店に来られました。

何かご様子がおかしい?

「あの〜ね、先ほどはありがとうございました。

あのあと、もう一度、確認したんだけど

私の数え間違えだったみたい。怒っちゃってごめんなさい。」

いや〜なんか不思議な気持ちになりました。

そのまま、帰っても分からないのに

わざわざ自分の勘違いを私たちに伝えに来てくれたのだ。

「アップルパイが無茶苦茶美味しくてね、また買いに来ちゃった!」と

残りの25個ぐらいを全部お求め頂きました。

実に嬉しいのです。全部買ってくれたからじゃないですよ。

なんか、お客様と気持ちが繋がったような気がした。

僕の想いがどれほどの伝わったかは分からない。

本当にアップルパイの味が美味しくてリピートしたかもしれません。

しかし、僕らは、それからというもの

誠意とはなんだということを今まで以上に考えるようになった。

 

 

まとめ

23年間の営業経験の中で「相当お怒りになったお客様」が10人ぐらいいる。

実は、自慢することではありませんが

今では、そのお客様は全て「ヘビーなタオの常連様」となってます。

 

お客様とは、コミュニケーションを取りたい。

お客様と繋がりたい。

 

実は、一番怖いのはクレームやご意見を頂けるお客様ではなく

「美味しかったよ」と2度と来ないお客さんなのかもしれない。

 

接客1年生が5年し続けている先輩には敵わないかもしれないが

経験者23年生が30年したからといって時間だけの理由で

いいサービスができるとは限らない。

だからこそ、私たちはお客様とコミュニケーション能力を高めていく必要があります。

長いグダグダ話にお付き合い頂きありがとうございます。