香り出しの珈琲豆の秘密?

タオの代名詞的存在の秘密。

いつも、当店にお越し下さり誠にありがとうございます。

熊本県を中心に19年間、今も年中無休で営業中です。

当店は珈琲専門店であります。

一度は体験したことがあるだろう?

コーヒーを出される時に決まって言われる言葉。

 

 

「香り出しの為に珈琲豆を浮かべております!」

 

香り出しの珈琲豆.jpg

 

何気なく聞いてもらっている呪文のような言葉。

この歴史について少し語りたい。

 

 

 

いつから浮かべ始めたの???

実は、私がタオを始める前から

この技?は存在しておりました。(笑)

熊本県北部に位置する山鹿市にある

富士ホテルのフロント業務の仕事をしておりました。

フロントには大きく分けて3つの仕事があります。

 

キャッシャーや受付をする「フロント業務」

 

お土産などを販売する「売店業務」

 

ロビーに隣接する喫茶店の担当する「喫茶業務」

 

 

とあります。

基本的にフロント業務は難しいので

私のような当時、下っ端は担当することなく

売店か、喫茶業務をすることが多かった。

チェックアウト時には、売店や喫茶店は大賑わい。

近くにいるフロントマンが売店か

喫茶業務を担当することになっている。

 

喫茶業務をしたい時は

喫茶店でウロウロすることも多かった。(笑)

 

 

 

そんな中、私の企み心に火がつきました。

 

 

 

フロントマン7人、すべてのスタッフが

喫茶業務をする可能性があります。

どのフロントマンが淹れた珈琲が

一番美味しいのだろうか?

 

カップの形状も同じですし

忙しい時間帯に一人一人のお客様に

「美味しかったですか?」と尋ねたところで

他の担当スタッフとの味の違いなど

わからないだろうと!

 

 

ある日の出来事です。

いつものようにチェックアウトの時間帯は

ロビーでコーヒーを飲もうとするお客様で

賑やかでした。

 

なくなったコーヒー豆を補充しようと

新しい珈琲豆の袋を開けようとしたら

手が滑り、コーヒー豆を床やシンクの中へ

ばら撒いてしまったことがありました。

チェックアウトの時間帯が過ぎ、次第にお客様は

ホールからいなくなりました。

 

落ち着いたロビーを片付けようと

空いたカップを下げ、テーブルを拭き

洗い物で山のようなシンクに水を出したら

先ほど、ばら撒いてしまった珈琲豆たちが

詰まってしまいました。

その時に、ワープみたいにグルグル頭が真っ白になり

シンクの中に溜まっていた水の表面を眺めている。

 

 

 

 

って浮かぶんだ!」

 

 

 

 

当たり前で、今まで考えたこともなかった

自分はエジソンにでもなったかの如く

素晴らしいことに気づいたことを

自覚できるような発明と感じて

自分の淹れた珈琲に一粒だけ

コーヒー豆を浮かべることにしました。

 

飲み干されたコーヒーカップに一粒豆が

残っていたら、私が淹れた珈琲になる!

 

しかし、問題はありました。

お客様に「何かゴミが浮かんでいるよ」とか

「間違えて珈琲豆入っちゃっているよ!」とか。

たくさん指摘された。

 

なので考えました。

理由をつけよう〜!

 

「お客様、香り出しの珈琲豆を浮かべております」

 

お客様は、喜んでくれた。

そこまでは、予想していなかったけど

本当に喜んで頂け、且つオリジナル性を

もたらす技となりました。

 

 

なので、タオでは営業初日より

浮かべております!

 

 

 

 

 

 

死豆の活用方法。

あまり大きな声で言えない事情があります。

しかし、それまでも言ってしまうのが私です。(笑)

今のような高品質の珈琲豆は

開業当初の未熟な珈琲店では

手に入れることが出来ませんでした。

 

品質が劣ると、未熟豆のような欠点豆が

混入していることもあります。

そのようなコーヒー豆を美味しく抽出し

「タオのコーヒーは一流だね」と思って頂くには

ハンドピックと言って、未熟豆を一粒一粒

手で取り除き、良質な豆だけを

お客様に提供することにしました。

 

しかし、取り除いた豆も一粒も無駄にしたくないと

再度、焙煎機に入れ深く焙煎しました。

本来なら色が付きづらい未熟豆も

2度も焙煎されたら、それなりの豆に変化します。

おまけに香ばしい。(笑)

抽出するわけじゃないからという理由から

当時は「香り出しの珈琲豆」として

活用しておりました。

 

 

 

 

進化した香り出しの珈琲豆。

タオは、屋台珈琲からお客様が次第に

増えてきて、焙煎量が増えました。

まとまった高級豆たちを取り扱えるようになり

今となっては、高級豆自体を

「香り出しの豆」として活用しております。

しかし、一粒たりとも無駄にしたくない

という初心の気持ちは忘れないようにしています。

 

 

 

フロントマンの中に原石を見る。

ご存知な方もいると思うが、開業当初

タオを始めたパートナーが7名のフロントマンの中の一人。

田所(旧姓)ゆかりさんと私、柴尾稔生の頭文字

ドコロシバ珈琲である。

まさか、喫茶店を開業するのが夢だった

彼女の夢と自分ワールドを展開してやろうという

私のアイディアの結晶板なのです。

屋台珈琲.jpg

 

 

 

 

技を続ける、もう一つの理由。

カフェラタオという会社名は覚えてもらいにくい。

今だからこそ、タオだ!タオだ!と

覚えて頂いていることに感謝。

開業当初は西南戦争、日本最後の内乱の激戦区。

誰も来ない田原坂公園駐車場に

屋台で営業しておりました。

ホテルマンだった私たちは、タキシードやスーツを着て

お客様を迎えることが多く、正装に抵抗がなかったので

屋台珈琲店に正装し、看板もなくバラ1本。

ウサンクサイったらありゃしない。

せめて、インスタントコーヒーではなく

レギュラーコーヒーを使用した専門店と

言いたかったのでしょうね。(笑)

タオという名前を覚えて頂けなくとも

「ほら、豆のいっちょ浮かんでいる珈琲屋」と

噂になることを夢見ていました。(笑)

湯気.jpg